ご家族やご親戚など近親者の方で悲しみ事があった際、お葬式から四十九日法要までの間は宗派を問わず白木のお位牌を祀(まつ)り、亡くなった方を偲びます。
その白木のお位牌ですが、四十九日の法要以降は「本位牌」とよばれる漆(うるし)塗りなどで仕上げたお位牌に作り替える必要がある、ということを耳にされたことがあるのではないでしょうか。
白木のお位牌を本位牌へ作り替えるという一連の流れは、どの宗派にも当てはまるのかというと、実はそうではありません。
浄土真宗という宗派では、白木のお位牌を本位牌に作り替えることはしないのです。
つまり、浄土真宗ではお位牌を作りません。
それではなぜ浄土真宗ではお位牌を作らないのでしょうか。
亡くなった方を祀(まつ)るためにお位牌が必要ではないのでしょうか。
ここでは、なぜ浄土真宗ではお位牌を作らないのか、浄土真宗であってもお位牌を作りたい場合はどのようにすればよいのかをお話していきます。
お位牌の種類についてはこちら「京都老舗仏壇店の豆知識 お位牌の種類について」https://www.wakabayashi.co.jp/homeuse/journal/ihainosyurui/
浄土真宗とは
浄土真宗とは、阿弥陀如来をご本尊とする仏教宗派の1つで、鎌倉時代初期に親鸞聖人(しんらんしょうにん)という僧侶(そうりょ)が開いた宗派です。
浄土真宗の教えの大きな1つの特徴は、厳しい修行などを積まなくても、阿弥陀如来を信じ「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)と念仏を唱えることで、みな浄土へ生まれ変わり仏になることができる」という考え方です。
この浄土真宗の教えが、浄土真宗ではお位牌を作らないということと深く関わっているのです。
浄土真宗ではなぜお位牌を作らないのか
先にも述べた通り浄土真宗の教えでは、人はみな亡くなった後すぐに浄土へ生まれ変わり仏になることができる、と考えます。
つまり浄土真宗では、魂がお仏壇の中やお位牌に宿るとは考えないのです。
浄土真宗ではお仏壇にむかって手を合わせているのは、私たちを見守り、亡くなった方を浄土へ導いてくれた阿弥陀如来にむかって感謝していると考えます。
そのようなことから浄土真宗ではお位牌を作らないのです。
このような考え方から浄土真宗ではお位牌を作らないだけでなく、「仏膳(ぶつぜん)」とよばれる精進料理を供えるお膳も用意しないなど、浄土真宗だけにみられる特徴があります。
浄土真宗では過去帳や法名軸を用意します
それでは浄土真宗の場合、亡くなった方の記録はどこにも残らないのでしょうか。
浄土真宗ではお位牌は作りませんが、亡くなった方の記録を残すものとして「過去帳(かこちょう)」とよばれる帳面のようなものを用意します。そこに亡くなられた方の名前など記入します。
また、過去帳ではなく「法名軸(ほうみょうじく)」とよばれる掛軸の本紙(絵や字がかかれている部分)が無地になっている掛軸を用意し記す方法もあります。
ただし浄土真宗では、過去帳も法名軸もあくまでも亡くなった方の記録を残すものであり、魂や霊が宿るとは考えません。
浄土真宗でも位牌を用意したい場合には
「浄土真宗ではお位牌を作らないと聞いているけれど、やっぱりお位牌を作りたい。」というご相談を店頭でもよくお伺いします。
浄土真宗の宗派としての考え方ではそうであっても、お位牌にむかって亡くなった方を偲び手を合わせたい、と思う気持ちはとてもよく理解できるものです。
実際に浄土真宗のお寺様とお付き合いされている方で、お位牌を作られている方もいらっしゃいます。
そのため浄土真宗でもお位牌を作りたい場合には、そのことを一度お寺様にご相談していただくことをおすすめします。
また浄土真宗でも、一部の宗派ではお位牌を作る必要がある例外もあります。お付き合いされているお寺様の詳しい宗派がわからない場合にはご確認されることをおすすめします。
お位牌のご用意で悩まれた際には若林佛具製作所へご相談ください
以上が、なぜ浄土真宗ではお位牌を作らないのか、浄土真宗でもお位牌を作りたい場合はどのようにしたらよいのかというお話でした。
また、今回お話させていただいた内容は一般的なお話です。そのため、その方その方のご事情によってお位牌のご用意について様々なケースが存在します。
もしお位牌のご用意について悩まれた際には、ぜひ一度若林佛具製作所へご相談下さい。様々なケースをお伺いしている若林佛具製作所のスタッフが、その方その方のご事情に合わせたご提案をさせていただきます。